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第2回ワークショップ「ハウスメーカーと建築家の違い」-概要版-

最近、少しずつではありますが、設計事務所に依頼して家を建てたいと言う方が増えてきています。
しかし、設計事務所ならどこでも良い家が設計できるのかというと決してそうではありません。
設計事務所に依頼する場合はその設計者の力量に家の品質が大きく左右されます。
設計事務所とはどのようなところなのかまとめてみました。

設計事務所とはどのようなところなのか・・・・

設計事務所の業務として大きく2つに分類されます。
一つは設計業務、もう一つは監理業務(施工業者の行う施工管理とは違います)です。
工務店、ハウスメーカーなど設計施工一貫の業者では設計料の表記がなされていない場合もあり ますが、設計には以下に表示しただけの労力と人件費が必要になってきます。
これがサービスされるということは不思議に感じるかもしれません。
ここには設計施工一貫の問題点があり、設計料が建築工事の何百、何千という見積項目の中に振 り分けられているのが実際です。
これでは工事金額の適正価格を見出せず、建築主の立場を守るどころか不利にしかねない場合も あります。
建築士は建築主の代理人として責務を果たし、施工業者との信頼関係のもとに『より安く、より 快適に、より安全な建築』を導いていく業務です。

設計業務には

  1. 設計相談・・・・・・・・建築主が建物に求める要望や方向性の確認と、基本構想に必要な資料(敷地測量 図、地盤調査資料等)を収集し、必要に応じて相談に乗りアドバイスする。
  2. 基本構想・・・・・・・・現地調査および、行政調査を基に建築主が求める予算・工期・機能の検討等、建 築の概略を決める。 ※ここまでは通常無料で行われ、複数回の提案となることもあります
  3. 基本設計・・・・・・・・基本構想を基に、平面図・立面図・断面図・仕上げ・面積等を決める ※この時点で模型等によりお互いイメージの確認を行い、設計契約へと進みます
  4. 実施設計・・・・・・・・基本設計で話し合われてきたことを、より具体化し、建築主が求める建築を実際 に工事ができるように設計図書を作成。
  5. 見積・見積査定・・数社による競争入札を基本とし、基本設計図書・実施設計図書をもとに、建物が 構成される部材の数量と単価を出し、それに対してどれくらいの人件費が必要か といった工費等、明細に記載された書面を作成してもらい、内容の査定、工事請 負金額の妥当性を判断する業務。
  6. 施工業者の選定・・建築主に提出された見積書をもとに、施工業者選定のアドバイスと予算に応じた 建築物の仕様変更等の工事請負金額の調整を行い、工事請負契約を設計者として 契約に同意する業務。
  7. 確認申請業務・・・・建築物を新築(増築)しようとする場合は、工事を着手する前に、その計画が建 築基準法、建築に関する条例などに適合しているかどうか、建設地を管轄する地 方公共団体(又は民間の認定機関)へ設計図と確認申請書等を提出し、建築主事 の確認を受ける業務。(建築主の代理人としての業務になります)

以上のような内容が設計業務となります。

監理業務には

  1. 施工準備・・・・・・・・設計業務でまとめた図書やスケッチをもとに、設計意図を施工業者へ伝達し、工 事内容・工程の確認等を行う。
  2. 施工図チェック・・施工業者は実施設計図書をもとに、施工のための納まりを検討し、施工図面(1/5・ 1/10・1/1 等)を作成する。 設計者は、この施工図面を設計図書に照らし合わせ、検討承認し、実際の工事に 着手することとなる。 その他、使用材料、仕上げ見本の検査及び確認と承認、設備機器を選定し、検討 及び確認と承認を行う。
  3. 現場監理・・・・・・・・設計者は、建築主の代理人として定例打合せ等により設計図書の通り工事が行わ れているかの確認、施工品質の確認、および工程の進捗状況等の確認を行い、欠 陥の発生を未然に防ぐと共に施工計画を検討アドバイスする。 また、建築主の希望により工事中に変更が生じた場合、設計変更図書の作成や工 事費の増減調整等を行う。
  4. 竣工検査・・・・・・・・設計監理者は建物の竣工前に、その建物が建築主の要求に沿って出来上がってい るか、工事請負契約書・設計図書との食い違いがないか、また引渡し後において 建築主が生活するために支障はないか等の検査を行なう。 一般的には、施工業者の自主検査と設計事務所及び施主検査を行ない、不良個所 は期日までにすべて補修、及び修復を行ない、報告をする
  5. 監理業務終了・・・・各設備機器の取り扱い説明(説明書添付)、カギ、建物引渡し書類等をもって建 築引渡し主に引渡しを行う

建築工事において、建物の基本性能に関わる大部分は、竣工後、外部からの確認ができない状態 となります。
建築主が安全な建物を手に入れるためにも監理者は、幾度となく建築現場へ足を運び、施工の品 質と精度を確認する必要があると考えております。
設計業務・監理業務あわせて一般住宅で10ヶ月〜12ヶ月のお付き合いになります。
建築では竣工が終わりではなく、建築主をはじめいろんな方々のお力添えのもとに誕生し、やっ とスタートラインに立てたわけです。
建築主と共に成長し続けていく建築をいつまでも見守ってゆきたいと思います。

設計事務所に対するイメージについて・・・・

Q1.設計事務所は豪邸しか建てない?

決してそのようなことはありません。
庶民のためのローコスト住宅を設計することの方が多いといえます。
都心などでは狭小の敷地が多く、さまざまな法規制をクリアし、これから始まる新しい生活を、 ご予算に合わせた快適な居住空間を提案することが設計事務所の仕事と考えております。

Q2.設計事務所に依頼すると何か特殊な家を建てられるのではないか?

マスコミに登場する建築家の設計する家には確かに特殊な物が多く登場しますが、これはマス コミが新しいもの、特殊なものを特に選んでとりあげているからではないでしょうか。
設計事務所の設計する家は確かにハウスメーカーや工務店の作る家とは一味違うものが多の ですが、これは決して建築士が独断で設計したものではなく、建築主様と綿密な打ち合わせを繰 り返した結果、建築主様と一緒に創り上げた賜物なのです。
優秀な建築士は決して施主の意見を無視するものではありません。
建築主様の意見をよく聞き、その上に自分の創意工夫であなたのためだけの家を創り上げるの が優秀な建築士といえると思います。

Q3.設計事務所に頼むと高くなる?

計料はかかりますが、ハウスメーカーや工務店でも設計にかかる経費が0なわけではありませ ん。
実際には経費がかかっていても工事費の中に含んでしまって、設計無料としていたり、きわめ て少ない設計料に見せかけているにすぎません。
我われ『住まいの研究会』では、どう設計すればローコストでハイパフォーマンスな家を提供 できるのか、研究しています。
ハウスメーカーの標準仕様からはずれた自由設計の家なら設計事務所に依頼した方が安くな る場合の方が多くなるのはこういう理由からです。
専門の建築士をあなたの家づくりにために雇うことを考えるとある程度の報酬を支払うに十 分なメリットがあると思います。

以上、第1回「建築家とハウスメーカーの違い」の資料の抜粋より